坂井カイト20歳・・・じゃなくて一歩前の19歳。
現在喫煙及び喧嘩中。
そしてけっこー・・・危ない状況だったりする。






「いいねえ。俺、そういうの好きよ」

ザワザワ、ザワザワ、ザワザワ・・・ 俺が今いる所から3mくらいしか離れていない、 人々の雑踏が広がる街。 光が溢れて、 人が溢れて、 音が溢れて、 沢山いろんなモンが溢れ返ってるけど 俺が今置かれた状況よりはいい・・・か。 わらわらと虫のように集まってくるのは 本当に虫のように腕を、足を、それとも突かない細く長い肢体。 異形のソレ。 気が触れてしまったかのように 口からは唾液が、あらゆる所からは鮮血の変わりに粘つく緑色の体液。 掛ける事の6.つまりは6体のソレ。 「おえっ・・・気持ち悪ぃ」 そう言って煙草と共に歯ををより一層強く噛み締めると カイトは闇に潜ませたままだった左腕を前へと突き出す。 僅かな光に照らされた左手が構えるソレは、 黒光りして、妙に重圧感のあるそしてカイトの手にピタリと収まる短銃だった。 「ま、全部壊(コロ)せば済むこった」 其の言葉と共にタンッと小気味いい音を立ててアスファルトの地面を蹴り上がる そして、 飛び上がりながらまず其の足で一体、 次に銃で連続2体、 落ちるときの重力を利用して1体に踵落とし、 そのまま地面と平行に飛んで直後に銃の硬さを利用して殴り、 最後の一体の前まで来る。 ・・・そして対峙。 「コレで終わりだなぁ?」 「っきゃあ!!」 「!?・・・っぐあ」 誰も来るはずの無い遮られた世界 邪魔も無ければ助けも無いそんな結界空間(バショ)で 誰の声もする筈が無いのに 少女よりも大人びた、女性と呼ぶのにはまだ早い 十代後半の性別女の声・・・。 「(騙された・・・か?否(イヤ)この声は・・・幻覚なんかじゃない。肉声だ)」 ザザァッ・・・ カイトの身体は落ち着いたシコウとは裏腹に 激しく地面へ肌を擦り付けながら飛ばされる。 直ぐに起き上がろうとするが、腕の露出度の高い薄っぺらい服のせいで、 薄く凸凹に擦り削られた皮膚は血が滲むといってしまっては 事足りないほどに腕を流れている。 「ッ痛てぇな、クソッ」 「だ、大丈夫ですか?」 「・・・アンタは・・クッ」 ダンッ 限りなくカイトの思考から無くなり掛けていた『十代後半の性別女』の存在に 一瞬ぼうっとしている所へ先ほどの生き残った1体の『異形』の 細く長いそれでいて限りなく硬度の高い肢体が 其の長さを活かし鞭のように不規則な動きで襲い掛かる。 ソレを寸前でまだ名前の知らない『十代後半の性別女』を抱えながら 足の力と体のばねを使い跳び避ける。 「あの・・・」 「何だよ」 「コレは・・・」 「煩ぇ追求すんな。俺はな編に追及する奴が1番気に喰わねぇんだよ」 「・・・・・」 「お前は黙ってろ」 そう言って『十代後半の性別女』を地面に乱雑に置くと 自分はすぐさま獲物へ向かって逃げた時のソレと同じ様に、 獣さながらの動きで獲物へ跳び付く。 パァン・・・ 1つの銃声と共に一発の弾丸が銃口から飛び出す。 そして、獲物の左眼へと当たる。 「っぁ・・・」 「アンタは黙ってろって言ったろーが」 「っ」 声を微量に漏らした『十代後半の性別女』が 気を立てている今の状況では気に障ったのか、 銃を相手に向けながら脅すように言う。 その後ろでは化け物が苦痛にうめいている。 「終わりだ」 銃を構えなおしニィッとカイトの口がつりあがる。 だが、ソレを合図にしたかのように倒したはずのモノのうちの一体が、 その腕だけを伸ばしカイトの足を払い地面へと倒す。 ドサリという音と共に会とは倒れそして 手に持っていた小銃は持ち主の手を離れガラガラと音を立てて地面を滑ってゆく。 残り3発の弾丸を中に残したまま、銃は黙る『十代後半の性別女』の足元へ辿り着く。 「くそっ・・・っ」 カイトが落ちた影に気づき見上げれば、 其処には今まさに飛び掛らんとしている『獲物』・・・。 「(終わり・・・か・・・)」 苦々しく口を歪めゆっくりと瞼を下ろし 何れ来るだろう死の衝撃を覚悟する。 パァァン・・・ 不思議に其の音は其の異様な空間に響いたようだった。 そして其の音の発生源はカイトの、しかし今はカイトの手には無い一丁の小銃。 それを手にしていたのは、先ほどの『十代後半の性別女』だった。 「なっ」 「私の名前はね・・・浅木香奈。アンタとかお前じゃないわ」 「は?」 「名前・・・覚えてもらうまで死なせないわよ」 「・・・・・」 カイトが香奈から投げられた小銃を受け取るのと、 獲物が倒れるのはほぼ同時だった。 カイトは一瞬ぼうっと香奈の顔を見ていたが じっと見詰めているうちに香奈の顔が段々と赤みを帯びていくのを見て 戦いを始めた時に浮かべていたようあの笑みを浮かべ香奈に近づく。 「な、何よ?」 「いんやぁ、何でも無いけど?」 「だったらそう見ないでよ」 「気にすんなって」 「気になるわよ、話しなさい!」 「やーだね。」 くっくと笑うカイトの表情には面白げな雰囲気を漂わせ 香奈の頭をくしゃりと掻き回す。 香奈はそんなカイトの手を精一杯払い除けるとキッと軽く睨むように顔を上げる 「くくっ・・・いいねえ。俺、そういうの大好きよ?」 「なっ」 「だーから、あんま気にすんなっての」 カイトはドカリと異形の体液が散らばった地面に顔をしかる事も無く座り込む。 香奈も座り込んだカイトにあわせるように腰をかがめて 再び口を開こうとする。 この二人の口論は結界を張ったこの空間で、暫くの間続いた。 From:烏夜
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