裕也が誘った旅行はナツの恋を覚醒させる大事な旅行でした。
ナツコイ
「おーいナツ!俺さ、夏休み海行くんだけどお前も行かない?」
そう誘ってきたのは俺の親友の裕也。
「え…なんで?」
めんどくせぇ…と顔をしかめる俺に零れんばかりの笑顔を俺の耳に近づけて囁く。
『お前のだぁ〜い好きな天音チャンもちゃ〜んと呼んでますって。』
耳に息を吹きかけられるようにしゃべられたからか、天音という名前を聞いたからか、
俺の顔は火を噴いたように真っ赤になった。
「な…な…な…余計なことしてんじゃねぇ!」
あたふたした姿にさらに気を良くしたのか裕也は俺の肩をポンポンと叩きながら答えを促す。
「どうするの?行かないの?行くの?俺はどっちでもいいんだけどねぇ。
あぁあ。せっかく俺が恋のキューピットしてやろうと頑張ったのにさぁ。
なんならアレ?俺が天音ちゃん奪っちゃうぞ?」
うッ…こんの悪魔!
「あーはいはい。行きゃあいいんだろ。行きゃあ!」
「そう来なくっちゃ♪うし!楽しい夏休みになるよう頑張るぞッと。」
俺、無念。
裕也メチャクチャ張り切ってやがる。。
「楽しみに待っててねー♪」
小悪魔の去り際、俺は真っ白な顔して硬直してたとかしてなかったとか。
どうしよう。。ハンパなくドキドキいってる。
昔っからアイツだけには弱いのな、俺って。
「なっちゃんも海行くんだね。」
麻生(天音)と学校への帰り道にばったりと会ってしまい、一緒に帰っている。
「あ…あぁ。」
「ふふ。よかったぁ。」
ひまわりのような笑顔を咲かせる麻生に見とれる俺。
(いつ見てもかわいぃなぁ。)
ん?俺、なんか予期せぬことを考えてなかったか?
まぁいいや。
「私お弁当頑張らなくちゃ。」
「旨いのつくれよ。」
とたん頬を膨らまして、
「もう!私のこと料理下手だと思ってるでしょ!?
そんなこというならなっちゃんの分作ってあげない。」
「ゴメン、ゴメン。悪かった。 麻生の弁当楽しみにしてるな。」
「うん。期待してて!」
そういった麻生の言葉が最後。
分かれ道に来てしまった。
「じゃぁ。俺、家向こうだからここで。」
「うん。じゃぁね。」
麻生と居ると落ち着くな。
でも、何故かぐるぐるする…。
胸がバクバクいってんだ。
麻生と裕也。
似てるけど違う感情?
どちらかに…恋?
まさか裕也は違うよなぁ。
男だし。
麻生はなんか、妹って感じで好きなような。
それ以上を望んでいるような…。あぁ…俺、ワケ分かんねぇ。
第一裕也が海なんか誘うからだ!
悪態を付いても、もう遅い。
そして、当日はやってきた。
―電車の中。
「あ!海だ海だ!」
一人、到底そんな気分ではない俺ははしゃぎ出す裕也と麻生を見つめながら、
思いを浸らせた。
俺、本当はどっちが好きなんだろ?
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男だけど…抑えられねぇ。。
親友の裕也→
BL(ホモ)要素満載です…。
苦手な人回避!※ちなみに主人公攻め。
やっぱり一緒に居ると落ち着くんだよな。。
妹的存在な天音→
こっちは至って普通です。